マネジメント・後輩指導

「魚を与えるのでなく、釣り方を教えよ」~教えるべきは答えではなくやり方~

先日twitterにて、教育関連テーマで、以下の投稿をした。

ここで投稿した、

「魚を与えるのでなく、釣り方を教えよ」


という言葉の意味について、
・具体的にどの様なイメージか?
・なぜその方が良いのか?
・そのためにどうすれば良いのか?
等について、私の専門とする社会人教育の観点から具体的に述べてみたい。

魚を与える

魚を与えるとは、答えを教えること

「魚を与える」
というのは、教育・指導の場面に置き換えると、
「答えを教える」
と言い換えられる。

たとえば、
・クレーム対応を代わりに行う
・提案資料を代わりに作ってあげる
・目標数値を代わりに立ててあげる
といったイメージだ。

仕事において、多くの人が「答えを教えて欲しい(=魚をください)」という要望を持っている。なぜなら、それによって目の前の問題がすぐに解決するからだ。

魚を与えるデメリット

ただ、魚を与える事にはデメリットが伴う
それは、次に同じ様な状況が起きた際に再びまた魚を与えないといけない、という点だ。

まだ自分では問題解決が出来ない上に、簡単に仕事が終わる旨味を知っているが故に、

「あのーすみません、またクレーム対応してもらっていいですか?」

みたいな話になり、延々と対応を続けないといけない

釣り方を教える

釣り方を教えるとは、アプローチを教えること

一方で「釣り方を教える」
というのは、教育・指導の場面に置き換えると、
「やり方・解き方を教える」
と言い換えられる。

たとえば、
・クレーム対応の方法を教え、対応は自分でやってみてもらう
・提案資料の作り方を教え、作成は自分でやらせてみる
・目標数値の立て方を教え、実際の数値は自分で決めてもらう
といったイメージだ。

釣り方を教えるメリット

釣り方を教えるメリットとしては、教えた事が習得されれば、次回からは再び教えることなく本人自身で解決できるため、教える側は1回の手間で済む・楽になるという点が挙げられる。

更に言えば、教わった本人としても自身で問題解決できる様になるため、自分に自信が出てくる点もメリットとして挙げられよう。

釣り方を教えるためには

ここでは更に、釣り方を教える際のポイントについて3点挙げておく。

①考えさせる

釣り方自体も簡単に解を与えるのでなく本人に考えさせると良い。

なぜなら、人は自分で考え、自らたどり着いたやり方に大きな納得感・自信を持ちやすく、その後の継続的実行に繋がりやすいからだ。

②小さい成功を褒める

2点目に、小さくとも成功した事を褒めること。

いくら釣り方を教えても、いきなり初めから「釣り」は成功しない。
少しでも上手くいった点を見つけて褒め、成功体験を積ませる事が重要だ。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
(by 山本五十六)

釣り方を教えるのも、なかなか大変である。

③一般化する

3点目に、一般化させること。

一般化とは:
さまざまな事物に共通する性質を抽象し、一つの概念にまとめること
(デジタル大辞泉より引用)

例えば、
・今回は〇〇社の提案資料が自分で作れた。
・ただ、〇〇社以外の提案資料は作れません
という状態では、結局教える側の手間は少なくならない。

「提案資料作成におけるポイントは何か?」
について、一段抽象度を上げて考え、一般化することで、他の状況にも当てはまる「釣り方」を学ぶ事ができる。(※「一般化」についてはコチラの記事も参照)

 

ここで記載した3点は、私が普段行っている「講師業」にも非常に通ずるところがある。講義の仕事は「受講者に考えてもらい、1STEPごとの成功体験を感じてもらい、1つ1つ一般化していく」営みである。

まとめ

今回の記事では、

  • 人は釣り方を教わるより、まず魚を欲しがる
  • ただ、釣り方を教えると両者にとってメリットが大きい
  • 従って、魚を与えるのでなく釣り方を教えよう
  • 釣り方を教える際のポイントとしては、以下3点が挙げられる
      >考えさせる、褒める、一般化する

という内容について記載した。

途中紹介した山本五十六の言葉でも分かる通り、釣り方を教える事は簡単ではないが、皆さんも後輩指導や部下育成の現場で少しの事から意識してみて欲しい。

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