仕事において「目的と手段に関する問題」にぶち当たるシーンは多い。
本投稿ではこのシリーズ2作目として「専門家に手段を指図してしまう」について取り上げたい。
専門家に、手段を指図する人
仕事を依頼される時に目的でなく手段を指図される事がよくある。
例えば私も講師という立場で企業研修を実施する際、人事の方から「事例をもっと話してください」や「手を挙げてない人も当ててください」といったように、手段を指定される場面はよくある。
そうした時は必ず、目的を確認する様にしている。
〇「演習の事例ではなく私の事例を入れる目的は?」
〇「発言する気がない人を無理に当てる必要性は?」
といったように。
そうすると大抵、あまり目的が出てこず「とにかく事例を話して欲しいんです」といった様な、手段だけのこだわりが垣間見える事が少なくない。
美容師にハサミを指定するか?
私が以前の上司に教えてもらった言葉で「美容師にハサミを指定するな」という言葉がある。
補足すると、美容師には髪型の要望(=目的)だけを伝えればよく、ハサミ(=手段)を指定する必要はない、という事だ。なぜなら、目的に応じた手段は専門家(今回でいえば美容師)の方が詳しいからだ。
専門家は、(目的ではなく)手段を指定されるとストレスを持ちやすい。
たとえば寿司屋に入って、使う魚や米、ましてや握り方を指定されたら、大将はどう思うだろう?(恐らく退店させられると思うが。笑)
ある目的に対してどういう手段が有効かは、専門家の方が依頼者より詳しい。
なので専門家には、手段ではなく目的を伝えればよく、手段は考えてもらうのがよい。
なぜ手段の指示をしてしまうのか
では、なぜ手段だけの指示をしてしまうのだろうか。
一番よくあるのが「他の誰かがその方法でうまくいってたのを見た」という理由だ。
「〇〇さんがそのやり方でうまくいってたので、今回もそうしてください」というもの。
だが考えて欲しいのだが「1000円cutの美容師がこういう切り方をしていたので、その切り方で切ってください」と言われても、通常の美容院の美容師は困惑するだろう。
手段は全て、目的によって定まるのである。
ただここで重要なポイントが「手段は目に見えるが目的は目に見えない」という点だ。
その手段がどういう目的で行われているのかは見ている側からは見えず、手段だけが印象に残るため、全く別の目的の場面においてもその手段を指定してしまうということがよく起こる。
まとめ
目的と手段に関するミスコミュニケーションはとても多い。
今回の内容としては、
・専門家には目的だけを伝え、手段は任せよう
・うまくいったように見える手段の裏側には必ず目的があり、別の目的においても成功するものではない
という点、普段から意識しておけるようにして欲しい。