「人の話をちゃんと聞く」というのは、できているようで、なかなか難しいことのようで・・・。
かみ合わない会話
昨今の外出自粛が続くこういう状況なので、最近の食事は色んなお店でテイクアウトを頼んで家族で食べている。
この前も、「前から入ってみたかったんだよなー」と思ってた近所のお店がテイクアウトをやっていたので、「ちょうどいい」と思ってそこでお弁当を注文した。確か「カニクリームコロッケ弁当」と「チキン南蛮弁当」。
「5-10分かかりますがよろしいですか?」と店員さんに言われ、断るような時間でも無かったので、店内で座って待たせていただくことに。
その店は評判が良いのか、その5-10分の間でもひっきりなしにお客さんが出入りしている。1人、2人、また1人・・・。なんとなくボーっとそういう風景を見ていたら、次に入ってこられたお婆さんがふいに私に話しかけてきた。
「ここ、店内では食べられないの?」
たまにこういう、見ず知らずの他人になんのためらいもなく話しかけてくる人がいる。自分には到底できないことだが。私は特に返事を深く考えるでもなくお婆さんにこう答えた。
私:「いや、分からないですね」(と同時に、手を振るしぐさ)
お婆さん:「ああ、やっぱり食べられないのね。店内は。」
私:「あ、いえ、分からないです。私、このお店の人じゃなくて。」
お婆さん:「やっぱりそうよね。食べられないよね。こんな状況ですもんねぇ」
私:「(えっと・・・、一体何が起こっているんだ・・・)」
お婆さん:「店内で食べたかったんだけどね。分かりました。ありがとうね、教えてくれて。」
と、そう言い残してお婆さんはお店から去っていった。
話を早合点してしまうリスク
職業柄、ついつい日々のこういった出来事からも学びや気づきを引き寄せて考えてしまう。
ここまで極端な事ではないにせよ、私も講師として受講生の発言を聞いている中で、「あ、多分こういう話だろうな」と早い段階で相手の話を結論付けることをやりそうになってしまうことがある。おそらくそれが相手の意図とズレていることもあるのだろう。
たとえば、
- 同じ様な話の展開を過去に聞いたことがある
- 自分の専門分野・得意分野の話
といった状況では特に注意が必要だ。
具体的には、
- 以前聞いた話と重なり、同じ話と捉えてしまう
- 自分の枠組みの中で、「あ、多分あのパターンだな」と結論付ける
- この人が言うなら「きっとこの結論だな」と決めつけてしまう
といったことで、話の早合点は起きやすい。
そうではなくて、
- ちゃんと最後まで相手の話を聞く
- フラットな姿勢で聞く
- 聞き終わった後、自分の言葉で確認してみる(「・・・ってこと?」)
などを大事にしたい。
改めて、人と話すときには「早合点せず、まずはちゃんと聞く」ようにしたいなぁ。そんなことをお婆さんに学ばせていただくのであった。
ちなみに、お弁当は美味しかった。
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