感情的になる議論
人と話したり、特に決めごとをしている時に、
相手の考えが断定的になり意見交換ができない、
といった状況はよく見かける。
参照:「「確証バイアス」にどう向き合うか」
具体的には、
相手が「○○に違いない / ○○に決まっている」などと強い言葉を発していて、
表情や身ぶりからも感情的な空気が読み取れる様な状況だ。
こうした場面では、論理的に正しさを説明したり反論したりするよりも、
「承認、同調」の姿勢で臨むことが重要である。
やってしまいがちなこと
相手が感情的に、特に自分とは違う意見を述べている際、
ついやってしまうのが、「否定、批判・非難、嘲笑」である。
「え?でもそれって○○という考えもありますよね?」
といった感じならまだしも、
「いや、○○という点からは違うと思います」
「それはあなたの独断ですよね?」
「その程度で断定するのはありえないと思いますよ」
「え、そんなことだけで意思決定するんですか?(笑)」
といったモードである。
(私もこのモードが入りそうな時はよくあるのですが。汗)
自分の論理が正しく、相手の論理が間違っている、と思う時ほど、
人間はこうした態度を取ってしまいがちである。
ただ、感情的な相手に対するこういった姿勢は、
結局相手の確証バイアスを更に加速させてしまうことになり、
良い結果を生みづらい。
では、何を意識すると良いか
確証バイアスに陥っている相手に対しては、
まずは相手のバイアスモードの解消を心がける事が重要である。
そのための方法を以下に挙げると、
●相手の意見を部分的にも認める
・「○○という点はその通りと思います」(一部承認)
・「○○という考え方も状況次第ではありうると思います」(前提下での承認)
といった形で、何かしらの点で相手の意見を尊重・承認する
●相手の感情に寄りそう
・「仰る通りですね、私もその状況なら同じ意見になります」
・「確かに、その状況なら誰だってそうですよね」
といった形で、相手の感情が正当であると認め、感情に寄りそう
●笑いを取る
・「正しい事をして評価が下がるなら、貴乃花と一緒ですよね」
など、(これが良い例かは分からないが(笑))、
ビジネス外の実例と重ね合わせることで笑いを入れる
などが考えられる
承認や寄りそいだけでは、自分の主張が通らないのでは
ただもちろん、承認や寄りそいをしただけでは、相手の意見がそのまま通るだけである。
そこから、自身の主張を展開していく必要がある。
しかし、意外に確証バイアスモードが一度解けてしまえば、
健全な意見交換が進むものである。
もちろんいきなりアクセル全開で自分の主張を展開するのでなく、
「ちなみに別の視点でこれという意見もあるのですよね」
とジャブを打っていき、徐々に相手の反応を窺っていくことが重要だ
どうしようもない時は
もちろん、上記の通りにうまく事が運ぶことばかりではない。
どうしても相手の確証バイアスモードが解消できない時もある
そういう時は思い切って「距離を取る」ことだ。
つまり、今回の意見交換は撤退し、相手が冷静になるのを待とう。
無理に反論を行い、感情的しこりをその場で残すよりは、
その場は撤退して次回に懸ける事をオススメする
まとめ
相手が断定モードのときには、
・決して論理的に反論をしない
・ましてや「否定、批判・非難、嘲笑」はしない
・承認・同調モードを頑張ってみる
・可能なら、笑いを取ろうとしてみる
・どうしようもない時は、撤退する
といった事を意識してみよう。
議論の目的は、論理的な論破ではなく、
組織の共通目的に対する同調的前進のはずである。
論理にこだわり、感情を疎かにすることで、
本来の目的に達さない、という状態だけは避けたいところだ。