データ分析

数字を「絶対量」と「比率」で捉える ~コロナの感染者数を「絶対量」だけでなく「率」で見てみる~

研修講師として普段、「データ分析」をテーマに登壇する機会も多いのですが、その中で、

 「数字は昔から苦手で・・・」
 「エクセルがうまく使えなくて・・・」

と、「データ」「数字」という言葉を聞くだけで初めから身構えてしまう方に出会うことも少なくありません。

ただ、

 ・私は苦手なのでいいです
 ・私は文系なのでいいです

とばかりも、言ってられなくなってきました。

なぜなら、人間行動のデータ化が進み、それを活かそうとする企業が増えていく中で、「勘や経験」といった、いわば「定性」だけで勝負することはもはや分が悪くなっていくからです。

色んな「数字」に出くわした時に、まずどんな風に見ると良いのか?

まずはそんな基礎的なところから、いくつか記事を書いていこうと思います。

数字を「絶対量」と「率」の両面で見る

数字を見るときによくやってしまうのが、その「絶対量」だけを見てしまう、ということです。

具体的に説明していきます。

数字の「絶対量」だけを見る

たとえば、ある営業チームに所属するAさんとBさん。それぞれの前月の受注件数が、

 ・Aさん:10件
 ・Bさん:5件

というデータがあったとしましょう。

この数字の「絶対量」だけを見れば、AさんはBさんの2倍実績を残している優秀な営業パーソンである、ということになります。

数字の「率」も見る

ただ、例えばここで、この2人の「担当顧客数」が、

 ・Aさん:50社
 ・Bさん:10社

という情報が加わったとすればどうでしょうか。
(※このようなアンバランスな顧客配分は実際はあまり考えにくいですが、架空の設定として考えてください)

 「あれ、AさんはBさんの5倍もアプローチできる顧客があるのか」
 「だとすると、そりゃAさんの方が受注件数は増えやすいよな」

という気になってきます。そこで見ておきたい数字が、「率」です。

この2人の受注件数を、担当顧客数で割ってみると、

 ・Aさん:20%
 ・Bさん:50%

となります。

そうすると、Bさんは「少ない顧客数の中で、高確率で受注を勝ち取ってくる」優れた営業パーソン、という見方も出てきます。

事例:コロナの感染者数

この「絶対量しか見ない」という事象は、日常でもよくあります。

たとえば時事ニュースを例に取ると、コロナの感染者数の報道については、どちらかというと「絶対量のみ」の報道が目に付きます。

 ・東京の新規感染者が何名だった
 ・日本国内で何名になった
 ・他国では何名だった

というニュースが連日のようにテレビや新聞を賑わせています。

日テレニュース記事(7/10)より

日経新聞(8/14)より

テレ朝ニュース(9/8)より

こういった報道を受け、東京に住む人との接触に強い危険を感じている人も多いと耳にします。

事例:コロナの感染者数を「率」でも見てみる

では、コロナの感染者数について、強調して報じられている「絶対量」だけでなく、「率」も見てみるとどうでしょうか。

まず量を見れば

9/5時点の都道府県別の「累積感染者数」は以下の通りです。(※数が多い10都道府県を抜粋)

この数字を見れば、東京は

 ・2番目に感染者数が多い大阪と比べても2倍以上
 ・10番目に感染者数が多い北海道と比べると10倍以上

の多さであることが分かります。

こうした「絶対量」を見て、「東京の感染数が多いから、東京の人との接触が怖い」というように思っておられる方が多いように思います。

率も見てみる

では、もう一方の「率」を見るとどうでしょうか。

ここでは、都道府県でそもそも人口の数が異なるため、人口で割った数字を見てみたいと思います。(※人口1人あたりの計算では数字が小さくなりすぎるため、ここでは「人口1万人あたり感染者」を算出しました)

どうでしょうか。「絶対量だけ」を見ていたときには、

 ・大阪の2倍以上
 ・北海道の10倍以上

と見て取れましたが、随分数字が変わります。

「絶対量だけ」の情報で「東京だけ」を特別視されていた方も、少し印象が変わったかもしれません。

もちろん、この数字からどういう解釈を出すのかは、また慎重な分析・ロジックの検討が必要です。

ただ、まず数字を見て分析をするというときには、「絶対量」と「率」の両方を押さえましょう、ということです。

「率」だけでもダメ

ここまでは、

 「絶対量だけ」を見てしまっている

という例で説明してきました。

一方で、

 「率だけ」を見てしまう

ことにも気を付ける必要があります。

数字を「率」だけで見る

たとえばあなたは今、

絶対にサイコロの「6」を出したい

としましょう。ここに、

 ・サイコロA:過去に100%の確率で 6 が出たサイコロ
 ・サイコロB:過去に25%の確率で 6 が出たサイコロ

という2つのサイコロがあったとします。あなたはどちらを振りたくなりますか?

この「率」の数字だけを見ると、Aを振りたくなるかもしれません。

ただ、それぞれのサイコロが過去に「振られた回数」の情報として

 ・A:1回
 ・B:100回

という「絶対量」の情報が加わるとどうでしょう。

サイコロは通常、どの目も 17%程度(1/6)の確率で出るはずなのに、100回振っても25%の確率で 6 が出るサイコロが俄然魅力的になってきます。

このように、「率だけ」見ていても判断を誤ってしまうこともあります。

まとめ:数字の「絶対量」と「率」を押さえる

まず今回の記事では「数字に出くわしたときの基本的な見方」の1つとして、

 ・「絶対量」だけで見ない
 ・「率」だけでも見ない
 ・「絶対量」と「率」の両方を押さえる

ということについて書きました。

毎日、職場でもニュースでも様々な「数字」に出くわすと思います。

 ・今見ているのは絶対量なのか率なのか
 ・両面見るとどうなるのか

といったことを意識する、まずはそんなところから、数字を見る意識を持っていただけたらと思います。

 

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