今回は、「イシュー」について書いてみようと思う。
※イシューとは(定義):
様々な定義があるか、ここでは「今、何について考えるべきか」「何に答えを出すべきか」の「問い」を指すこととする(より詳細には、イシューからはじめよ(安宅和人著)も参照)
研修講師として日々、色んな企業に登壇していると「仕事が忙しすぎて、予習課題に手がつかなかった」とか「教わった内容が重要なのは分かるが、業務に忙殺されてうまく使えない」といった声を多く耳にする。私はこの「仕事が忙しい」「業務が終わらない」という状態のほとんどが、このイシューの考え方で解決できるのではと考えている。
働き方改革が叫ばれ、業務効率化に強い関心があたる中、ぜひ「こんな考え方もアリかも」と考えるキッカケになればと書いてみる。
つい「解」の質を上げることばかりに
先述のとおり、イシューとは「今、何について考えるべきか」という問いのことであった。この「問い」とは具体的には「新商品のマーケティング方針について」といった大きなものから、「明日の会議の資料をどう作るか」という日常的なものまでをここでは対象とする。
仕事においては、できるだけ高い「成果」を目指したいものである。その「成果」というものについて一歩踏み込んで考えてみると、以下の通りシンプルに分解できる。(※先述の書籍「イシューからはじめよ」(安宅和人著)より、考え方を引用)
仕事の成果 = 問いの質 × 解の質
話を分かりやすくするために、テストにおける「配点」と「得点率」になぞらえて考えてみることにしよう。
ここでの「問いの質」とは、いわば各問題に与えられた「配点」のようなもので、100点満点のテストの中に「30点」配点の問題もあれば、「5点」配点の問題もある、というイメージ。
一方で「解の質」とは、各問題での「得点率」、ここはもう少し分かりやすく言えば、「配点●点中何点取れたか」というものを指すこととする。
この例でいくと、
- 配点(=問いの質)30点の問題を得点率(=解の質)8割だったとすると、24点の成果
- 配点(=問いの質)5点の問題を同じく得点率(=解の質)8割だったとすると4点の成果
ということになる。
もっと問いの質に目を向けよう
世の中のビジネスパーソンが、「成長したい、スキルアップしたい」と考えるとき、実は公式の後者の「解の質」をいかに上げるかが関心のほとんどだったりする。どうでしょう?「資料作成術」、「エクセルツール術」、「伝わる話し方術」とか、そういった時短・スピードアップや効果向上のためのスキル獲得に、周り(または自身も)関心が向いてしまう場面は多いのではないだろうか。
ただ、実は公式の掛け算の前者、「問いの質」に目を向けること、つまり「いかに配点の高いイシューを見つけるか」を見極めることがまずは重要である。
なぜなら、いくら解の質が高かったとしても「とても綺麗で分かりやすい提案資料だけど、この提案が受注できたとして、上積みは今月目標の1%にも満たないね」ということだとすれば、それは「徒労」というものだからだ。
なぜ問いに目が向かないのか
なぜ解の質ばかりに目が行き、問いの質(=イシュー)に目が向かないのだろう。それはおそらく、これまでの人生において「問い」は常に与えられてきたからであろう。
小学校の頃、頑張って解いてきた「問題」、「夏休みの宿題」といった具体的なものもそうだし、「受験をして」、「就職活動をして」というのもある種「与えられた問い」であり、その問い自体を深く考えることは少ない。(かくいう私もそうだった)
そうすると、「イシューは何だろう」「今何考えるべきだろう」と考えることなく大人になる我々は、そういった概念を学ぶことも、練習することもない。なので、大人になってからかなり意識して練習しないといけないのである。
まとめ
我々はつい、「解の質」にばかり目がいってしまうが、大事なのは、まずは問い(=イシュー)の質に目を向けることだ。日々の仕事において、
- 今、何について答えを出すべきなのか
- その問いを考える意味が本当にあるのか
まずはそんなところから、イシューについて向き合ってみたい。