新しく講師を目指す人のトレーニングをしていると、
受講者への質問の仕方として、
「みなさんどう思いますか?」
というような曖昧な問いをしてしまう場面がよくある。
皆さんの日常生活でも、例えば上司から、
〇「□□についてどう思う?」
〇「〇〇さんの意見はどう?」
〇「最近どう?」
という様に、曖昧に質問されるシーンはないだろうか。
こうした曖昧な問いについて、
その結果相手に生じさせる困惑、
一方で曖昧に質問しても良い場面、
などについて記載してみたい。
曖昧な問いの行きつく先
想定される相手からの反応はいくつかある。
以下に代表的な3つを紹介しよう。
①沈黙
1つ目は、沈黙だ。
〇「どう思いますか?」
〇「(え、どうって言われても・・・)」
といったイメージである。
曖昧な問いをするとなぜ沈黙が起こるのだろう?
それは、
〇「何を答えて良いか分からない」
〇〇⇒「答えたとして間違ってる可能性がある」
〇〇〇⇒「間違ってる、と言われたら嫌だ」
といった考えが相手の頭の中で回っているからだ。
②曖昧な返答
曖昧な問いへの反応の2つ目は、曖昧な返答だ。
すごく極端に言えば、
〇「どう思いますか?」
〇「え、良いと思いますよ」
みたいなイメージだ。
曖昧に問われているため、
曖昧にしか答えられない、という状態である。
③ズレた返答
曖昧な問いへの反応の3つ目は、ズレた返答だ。
自身の想定とは全く異なる返答がきて、
〇「いや、そういう意味じゃなくて・・・」
と追加質問をする様な場面を、普段もよく見かけないだろうか。
曖昧な問いのメリット
「沈黙・曖昧・ズレ」と、あまり良い結果に繋がらない。
ただ一方で、こういう曖昧な問いにも利点はある。
それは、曖昧な問いに対しては「なんでも言える」ので、
幅広い意見を出すことが出来て、議論を広げられる点だ。
曖昧な問いを使える条件
以下の様な条件が必要だ。
①相手と関係性が出来ている
先ほどの「なんでも言える」は、
「回答が間違ってても怒られない」
という双方の良好な関係性があってこそ成り立つ。
「相手が警戒心を持ってない」
事が大前提だ。
そうでない場合には、
「沈黙」や「曖昧返答」に終わることが多い。
②時間的な余裕がある
曖昧な問いでは「沈黙」や「ズレた返答」が起こるため、
やり取りにどうしても時間がかかってしまう。
時間の余裕がない時はなかなか
曖昧な問いは使いづらい。
逆に、友人と飲んだり、お茶したりする様な時は、
曖昧な質疑・会話で全然オーケーだ。
③相手と前提がすり合っている
と相手が頭の中で補い、良い返答をしてくれる。
家で使う、「お母さん、アレどうなった?」
とかは全然オーケーだ。
まとめ
〇・関係がさほど良くない上司から
〇・すれ違いざまに
〇・前提もすり合ってない中で、 「最近どう?」
と聞かれるのは、最悪な状況ではないだろうか (笑)
曖昧な問いは、上記の様に「条件」を見極めて使うものだ。
決して、どう話すか困った際に「どうですか?」
と苦し紛れに発する類のものではない。
これは私の様な講師の立場ではmustで意識する点だが、
皆さんも普段、質問や問いかけをする場面で、
一度自分の問いの抽象度を立ち止まって確認して欲しい。
きっと、議論の進みが一気に早くなるキッカケとなるであろう。