「ファシリテーターの病」というこのタイトルで記事を書くのは2回目となります。
前回の話:ファシリテーターとしてファシリテーション技術を磨き続けると、一方で悩み・副作用が発生する。その1つとして「飲み会でファシリテーションしてしまう」という残念な事象について書きました。(※詳細は前回記事を参照)
今回は「ファシリテーターの病」として、
セミナー参加中、「進行」が (登壇者の話より) 気になってしまう
という症状について紹介したいと思います。
(※ここでいうセミナーのイメージとしては、「2-3人の登壇者と、進行するファシリテーターがいる」ようなセミナーです。)
これまた皆さんにとってあまり有益な話ではないと思いますが、まあこんな人間もいるんだなとご笑覧くださいませ。(2回目)
①冒頭編:セミナーが始まるとき
自身がファシリテーターとして「場の進行」への強いこだわりを持つがあまり、他者の「進行 (ファシリテート)」には過敏に反応してしまいます。
セミナーに参加者側として座ったときによく見かけるシーンを挙げながら、一体何が気になるのか紹介していきます。まずはセミナー冒頭から。
■暖めが弱い
自分が講師やファシリテーターをするときには冒頭はとても大事にしていて、
- この回の趣旨・背景
- 参加者にとってのメリット
- 自分がここで話す意味
- 回のゴールや全体像 / タイムライン
- 参加にあたってのお願い
といったあたりをちゃんと伝えてから始めることにしています。(※もちろんアイスブレイクなんかもできるととても良いです。)
ただ多くのセミナーでは、
「じゃ、始めましょう。色々と私が話すのも野暮なので、早速登壇者に話してもらいますね」
「セミナーの趣旨とかは、もういいですかね? (スライドがあるにもかかわらず) 飛ばしましょう」
「(自身や登壇者の) 自己紹介とかは、もう皆さん大丈夫ですよね?割愛しましょう」
といった、あまりにも「冒頭を軽視」する進行をよく見かけます。
回の成功はほとんど冒頭にかかっていると私は思っているので、こういうスタートがされたらもうこの時点で帰りたくなってます(笑)
②本論:セミナーで登壇者が話すとき
進行者が登壇者に問いかけていく形式のセミナーでは、「いかに良い質問をするか」「いかに交通整理しながら進めるか」が大切になります。
これは講義でのファシリテーションでも同様で、良い質問をしないと学びは深まらないし、交通整理しないと受講者は迷子になってしまいます。
■質問が思いつき
ただ多くのセミナーにおいて、
- 「なんでここであの人に振らないの?」
- 「その人にはコレを聞かなきゃ・・・」
- 「その質問は何の意味があったの?」
といった、明らかに準備不足の質問をよく見かけます。更には、
■質問の仕方がまずい
聞き方の面でも
「・・・さん、その辺ってどうですか?」
といった、とりあえず投げただけの曖昧な質問がされることが多いです。
こういった「質問へのこだわり」によって、「場」は良くも悪くもなります。
■交通整理できてない
このように自分の思いついたこと・気になったことをそのまま質問して進めることで、参加者はどんどん迷宮に入っていくことになります。
「あれ、今何の話だっけ・・・?」 「えっと、どういう意味だろ・・・?」
その反応に気付いて軌道修正できればまだいいですが、「話は変わりますが・・・」といった接続詞を続けながら場はどんどん混迷を極めます。
もうこの辺りで、「今日は帰ってから何しようかなぁ・・・」なんてことを考えています(笑)。
③終盤:セミナーが終わるとき
セミナーを最後、どう締めくくるかも非常に大事です。私は、
- この回の目的・ゴールに対してどうだったのか
- 内容のダイジェスト・まとめ
- 今後参加者に期待するアクション
などは少なくとも伝えるようにしています。ただここでも・・
まとめがとにかく雑
これも多いのが、
「今日は色んな意見が飛び交いましたね」 「何かみなさん、参考にして帰ってくださいね」
といった何の示唆 (So what?) もないまとめであったり、または唐突に
「そろそろ時間ですね。終わりましょうか。今日はありがとうございました!」
という、明らかに時間設計ができてない終わり方などによく出くわします。
こうしてセミナーは終わり、抱えきれないモヤモヤを持ちながら帰路につくのです。
さいごに
このように、ファシリテーターの技術を磨けば磨くほど、セミナーに参加すると「内容」より「進行」にモヤモヤしてしまい、登壇者の素晴らしい話の内容が全然頭に残らず帰宅することになります。(なんてことだ)
さらにはその日の夜「自分だったらこう進行するのになぁ、ここでこう聞くのになぁ」とか考えてセミナーを脳内で作り直してしまうことで、全然眠れなくなります。(なんてことだ2)
前回も書きましたが、世の中会議運営における悩みが尽きない中でこれからファシリテーションを学ぼうと思っている方は多いと思うのですが、ファシリテーションを磨けば磨くほどこういった日常シーンでの副作用が待っているということは強くお伝えしておきたいと思います。(2回目)
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