研修講師としての私の講義スタイルは、一方通行で伝えるのではなく、双方向スタイルをとっています。具体的には、参加者への質問とその回答をもとに皆で議論をしながら講義を進行させていくスタイルです。
こうした複数人での議論を進行させる行為を「ファシリテーション」、進行する役割の人のことを「ファシリテーター」と呼んだりします。(以下、引用)
「ファシリテーション」とは
ファシリテーションとは、参加者の主体性を促し、多様な人材から、それぞれの経験や専門分野を尊重しながら、各人の多様な意見やアイデア、動機などを最大限に引き出し、話し合いにおける相互作用のプロセスをより有効・有益にするための、働きかけを意味する。その結果、問題の解決、新たな創造、気づきや学び、相互理解や情報共有などを促進する。「ファシリテーター」とは
このような機能を果たす人のことを、ファシリテーターと呼ぶ。ファシリテーター以外にも、その機能を部分的にメンバーで分担したり、(例:議論の可視化を別のメンバーが行う。)、設備・ツール類などで機能を補完したりすることもある。
(※引用元:weblio辞書)
講師として登壇数を重ねていく毎にこうした「ファシリテーション」の技術・経験値は上がり、幸い最近では講義後のアンケートで「講師のファシリテーションが素晴らしかった」と毎回書いていただけるくらいにはなりました。
ただ一方で悩ましい副作用も出てきます。今回はその副作用の1つとして、
「飲み会でファシリテーションをしてしまう」
という残念な事象について紹介したいと思います。あまり皆さんにとって有益な話ではないと思いますが、まあこんな人間もいるんだなとご笑覧ください(笑)
①冒頭編:飲み会が始まるとき
ファシリテーターという仕事柄、職業病でこんなことになってしまいます。たとえば・・・
■事前準備をはじめてしまう
そもそも飲み会が始まる前に、
- 誰が参加するんだっけ?
- そうすると何を話すと盛り上がるかな?
- 何か共通の話題あるかな?(→SNSをチェック・・・)
といった事前準備・検討が参加前に始まってしまいます。
この癖によって一番悩まされるのは「今日、●●さんも呼んでいいかなと思ってこの場に連れてきちゃいました!」といった飛び入り参加に動揺を隠せないことです。それまで描いてたプランが音を立てて崩れ、なんか色々どうでもよくなります(笑)
■目的が気になってしまう
飲み会の開始時はいつも、「今日はなんで集まったのか」「なんでこのメンバーなのか」などが気になってしまいます。(特に呼ばれた側のとき)
なので、飲み会が始まったら最初はあまり話さずに場の進行を見守りつつ、場の目的や背景を確認しています。逆に目的や背景が無いなら無いで、そう伝えて欲しいです(笑)
②中盤編:飲み会が盛り上がってきたとき
■会話の偏りが気になり始める
参加者が5名以上になると、どうしても「よく話している人 / あまり話さない人」が出てきます。そうなると、段々とあまり話していない人にもっと発言をして欲しくなってきます。
ただそういう時に、「〇〇さん、話してないけどどう?」といった質の低い問いを投げたくないので、話してない人が特定されてくるとそこからはずっと「〇〇さんに接続できるネタ、何かないか、何かネタ・・・」と、話せるネタ・共通項探しにずっと頭を回しています。
■理解度が気になってしまう
知らない人同士や、あまり接点がない人同士が場に混ざっているとき、会話の最中で私がめちゃくちゃ連発しているだろう言葉が「今の話、●●さんには分からへんと思うから補足するとね・・・」です。
特定の人に分からない用語を使ったり、文脈を省いたりする人に対しては、「補足警察」としてパトロールをついつい行ってしまいます。
■イシューを押さえたくて仕方がない
ある話題でひとしきり盛り上がったときに、いつも気になるのが「あれ、なんでこの話してるんやっけ?」ということ。(多分、口にも出しています)
この問いかけによって例えば、「えっと確か、好きな食べ物の話をしてて、●●さんがラーメンの話をして、麺の固さにこだわりがあるって言ってから、それぞれのこだわりの話になったんだよね」という文脈が明らかになると、
「あー、そやったそやった」
と、凄くスッキリします(笑)
③終盤編:飲み会が終わりそうなとき
■まとめたがる
「今日のハイライトはここやったなー」とか「今日は■■の話ができたなー」とかっていう、たとえば研修講義で言えばまるで終盤の5分に入ったかのような放り込みを突然行います。
ちなみに、こういう時は帰りたくなってる合図でもあるので・・・(以下ry
■ネクストアクションが気になる
この飲み会をふまえて、
- 何かアクションは発生したのか
- 持ち越し・継続議論になったことは何か
- 次は開催するのか、しないのか
- するとしたらいつなのか
といったことが気になっています。
逆にこうしたことを聞かない時は、帰りたかったり、もう次回をやりたくない時だったり・・・(以下ry
さいごに
このように、ファシリテーターの技術を磨けば磨くほど、飲み会では神経を使うハメになり、さらには帰宅後の疲労といったら講師後のそれとほぼ同等であったりします。(なんてことだ)
とまあ、こんな話を明かしてしまうと、ますます僕は誰にも飲み会には誘われなくなるのでは、という不安に怯えながらこの文章を書いているわけですが、まあこんなご時世なのでそれもありなのかなと思ってきました。
世の中会議運営における悩みが尽きない中、これからファシリテーションを学ぼうと思っている方は多いと思うのですが、ファシリテーションを磨けば磨くほどこういった日常シーンでの副作用が待っているということは強くお伝えしておきたいと思います(笑)
ちなみに、ファシリテーターの悩みはこの話に留まりません。他にもあって・・・(つづく)
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