仕事において「目的と手段に関する問題」にぶち当たるシーンは多い。
本記事ではまず、「目的・前提」を言わずに「手段」だけを質問してしまう、について取り上げたい。
手段の是非だけを聞く質問
私は講師という立場上、人から質問を受ける事が多いのだが、その際に、目的や前提を言わずに「〇〇というやり方で合ってますか?」「〇〇しようと思うのですがどう思います?」といった、手段の是非だけを質問される事がよくある。
そして、そうした質問に結構頭を悩ませてきた。
たとえば皆さんも、後輩から「〇〇社に転職しようと思ってるのですがどう思います?」と聞かれても、「転職してどうなりたいのか」(目的)と「給与や勤務地などの希望条件」(前提)が分からないと何も答えようがないだろう。
仮説で答えてみるのだが、、
で、たとえば「〇〇社はかなりチャレンジングな仕事ができるみたいで、良いと思うよ」と答えたとしよう。そこでよくあるのが「あ、自分、そういう成長とかってより早く帰りたいんすよね」といった様な、目的の後出しをする返答である。
「あなたのその案は自分の意に沿いません」という事を、悪びれる事なく言われる。こんな事が起きた日には、「そんなん先に言えよ」「こんな質問答えなきゃ良かった」と思う訳である。
目的・前提を補足して考えると、、
こういう質問者が回答者に期待しているのは、
「もし自己成長の速度を求めるならその会社は良いと思うし、プライベートの充実を重視するならもっと別の会社が良いと思うよ。例えば□□社とかね。ただ前提として今の自宅から遠くなりたくないなら、転勤で遠方に配属される可能性がないかだけ確認しておくと良いんじゃないかな」
みたいな回答であるのだが、これ、トライした事がある人にしか分からないと思うが、とても頭を使うし、回答を出すために思考体力をかなり浪費する。
結果、行きつく先は・・
で、その結果行きつく先としては「うーん、どの会社が良いかは目的によるかな」「もうちょっと考えてみたら」といった回答になる。
こういう回答をもらった時に「せっかく質問したのに、あの人冷たいな」と思うのでなく、まずは自分の質問の稚拙さを反省した方が良い。
親切な店員
ただ、世の中親切な人も存在する。
たとえば飲食店で注文をする際、店員に「オススメのメニューはどれですか?」と質問する場面はよくあるだろう。これ、実は上記の「目的・前提なき手段の質問」である。
で、この時の店員の対応は大きく二分され、
〇①「何がお好きかによりますね」「どれもオススメですけどね」で終わるパターン
〇②「お腹のすき具合はどうですか?」「ダメなものとかあります?」と質問をもらうパターン
の大きく2つの反応がある。
②のパターンは、凄く面倒な事をやってくれているので、逆にこちらとしては接客の心象が良くなる。
ただ、この返答をするのに店員さんもかなり頭を使って大変なので、客としては「けっこうガッツリ食べたくて、生ガキ以外なら何でも食べれるんですけど、その上でオススメって何ですか?」くらいの質問はしたいところだ。
※ちなみにAI時代を生き残る店員というのは、②の様なタイプだと思う
まとめ
我々は普段、目的・前提を言わずに手段だけを質問してしまう事が多い。
ただその質問の末路は、相手に大きな思考負荷をかけるか、または回答をスルーされるか、である。
手段の是非を聞きたいのであれば、目的・前提をセットで伝えることを普段から心がけるようにしたい。