「あなたの社会人としての市場価値はどのくらい?」
いきなりこんな風に聞かれても、明確には答えられる人は少ないだろう。
今回紹介する「転職の思考法」という本は、この問いへの近づき方を教えてくれる。
市場価値を意識して働くべし
転職をする時に重要なのは「自分が市場にどのくらい評価されているか」(=市場価値) である。ただ、在職中は市場価値よりも社内評価を意識して働かざるを得ない事が多い。
「よし、簡単なクイズから始めよう。ある会社に、AさんとBさん、二人の40歳の社員がいる。2人は同じ会社に勤めている。だが、Aさんは今の会社が潰れたら生きていけない。一方でBさんは今の会社が潰れても生きていける。同じ年月働いてきたのに、まったく違う結果の2人。それは2人が見てきたものが違うからだ。さあ、何だと思う?」
「会社が潰れても食べていける人と、食べていけない人が見てきたもの……。たとえば、お金でしょうか? 貯蓄の仕方とか」
「違う。結論は、上司を見て働くか、マーケットを見て働くかの違いだ」
(『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(北野 唯我))
「市場で評価される人」ではなく「その会社でしか通用しない人」になってしまうと、転職先も見つかりづらい。
「人生100年時代」と言われる中、なかなか今の会社に最後まで在籍するか不確定さが増している。そうなるとこの「市場価値」は、今転職を考えている人のみならず、多くの人が意識すべき視点ではないだろうか。
ちなみに著者もこの様に述べている。
「なぜ、この本を書いたのか?」と問われたら、私はこう答えます。すべての働く人が「いつでも転職できる」という交渉のカードを持てば、結果、今の職場も絶対によくなると確信しているから。
(『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(北野 唯我))
市場価値を意識して働く、とはどういうこと?
では、上司を見るのでなく、市場(マーケット)を見て働くとは具体的にどういう働き方を指すのだろうか。
本書では、
〇・「市場価値」を構成する「技術資産」「人的資産」「業界の生産性」という3つの観点
〇・20代・30代・40代・・・の各ステージで、何を重視すれば市場価値を上げていきやすいか
が具体的にストーリー形式で書かれている。
読み進めるうちに、
〇・自分の現時点のキャリアでの市場価値は〇〇だ
〇・これから〇〇を意識して働いていこう
〇・そのためには転職が良いか、現職のままでもできる事があるか
といった、今後のキャリアをどう築くと良いかのヒントが得られることだろう。
転職に必要なのは、情報ではなく「思考法」である
(『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』(北野 唯我))
更に具体的な論点として、
〇・良いベンチャーの見極め方
〇・新卒と中途で選ぶべき企業の違い
〇・転職エージェントとの向き合い方
等についても触れられている。
こんな人にオススメ
・今まさに転職しようとしていて、何を軸に企業を選ぶと良いか悩んでいる
・転職をすぐする訳ではないが、自身の長期的なキャリアプランを具体的に描いておきたい
・「なぜ今この仕事をしているか?」にうまく答えられない
・「自身の社会人としての市場価値は?」という問いにうまく答えられない
といった方にオススメである。(多分、ほぼ全てのビジネスパーソンに該当すると思う)
個人的所感
私は独立・起業するタイミングでこの本を読んだが、独立をすればまさに「自分の市場価値」を世に訴えていく必要がある。
改めて11年間のキャリアを振り返り、「自分の市場価値は何か」という問いについて考えるのにこの本が非常に役立った。
転職をする・しないに限らず、自分のキャリアをもう一度棚卸しするキッカケともなるので、よければ手に取ってみて頂きたい