昨今のコロナの影響で「3密」を避ける動きは、社会人教育の業界にも大きく影響を及ぼしています。
従来の集合型・グループワーク中心の研修は「開催がしずらい」、また延期するにせよ「実施の目途が立たない」というお悩みをお持ちの育成担当の方も多いかと思います。
そんな中で、「オンライン研修」という選択肢について検討されている企業も非常に多く、当社にもご相談が入ることが増えてきました。
お話を伺っていると、「受講者が集合しなくとも研修が実施できる」こと自体は魅力に感じておられながらも、
「オンラインで研修するってどんなイメージ?」
「何がどこまでできるの?」
といったオンライン研修の実施についての疑問や懸念もたくさんご質問いただきます。
そこで、オンライン研修の講師歴4年以上、オンラインサロンを運営して1年となる経験もふまえ、「オンライン研修」についての知見・見解を紹介していきたいと思います。
研修や社内勉強会のオンライン実施を検討されている方にとって、参考になる点があれば幸いです
目次
まずはじめに:「オンライン研修」の前提(形式 / システム)
いわゆる「オンライン学習」の形式には、大きく以下の2つがあります。
- 動画視聴型
- リアルタイム講義型
それぞれ特徴が異なり、両方比較検討すべき対象ではありますが、ここでは後者の「リアルタイム講義型」について述べていきます。
Zoomはテレビ会議と同様に映像(ビデオ)と音声を使って、社外にいる相手とのコミュニケーションを可能にし、ビジネスシーンでの機能が特に洗練されたツールです。(「3分で分かるZoomとは?知らないと損するWeb会議ツール」より)
オンライン企業研修でよく出る懸念とは
■学習効果面
・受講者が受動的になり(一方通行で)、学びが薄くなるのでは?
・受講者の集中力が低くなるのでは?(ながら受講など)
・受講者同士での議論がなく、学びが深まらないのでは?
■環境面
・PCでの長時間の受講は疲れるのでは?
・全員が受講環境を整備するのは大変では?
こういった懸念点に対して、私の考えを述べていきます。
対策①:オンライン企業研修の「学習効果面」の懸念に対して
■受動的になり、学びが薄くなるのでは?
同じオンライン学習でも「動画視聴型」とは異なり「リアルタイム講義型」の場合、リアルタイムで参加者に問いかけ、outputをしてもらうことが可能になります。
マイクを通しての発言もそうですが、チャット機能というものを用いて自身の考えをテキストでもoutputすることができます。こうしたoutput機会を創ることにより、オンラインでも十分に能動的に講義に参加することが可能です。
■受講者の集中力が低くなるのでは?
上記の「output機会」、言い換えれば「問われる機会」が増えることで、おのずと集中度は増していきます。
「質問されるかもしれない」
「outputする内容を考えておかないと」
という緊張感を保ちながら受講することが可能です。
もちろんそうした工夫をしても集中していなかったり、聞いてない人などはどうしても出てきますが、それはリアル研修でもそういう方は一定数いるので、「オンラインだから」ということではありません。
■受講者同士の議論がなく、学びが深まらないのでは?
zoomの機能の中に「ブレイクアウト」という機能があり、その機能を使えばグループ討議も実現可能です。(※詳細はコチラを参照)
ただこの機能を使わなくとも、オンライン研修では「全員で議論」がしやすくなっています。具体的には、
- 1人の発言を全員が画面越しで身近に聞ける
- チャットを活用すれば全員が同時にoutputできる
などが実現できるからです。これは、オンライン研修ならではの特徴と言えるでしょう。
対策②:オンライン企業研修の環境面の懸念に対して
■長時間だと疲れない?
ここは懸念の通り、受講中はずっとPC画面を見ていることになるため、長時間の研修だと目や肩などの疲労は大きくなると思います。
対策としては、
- 長め (15-20分) の休憩を細かく入れる
- 複数日程での実施にする(7時間で実施していた研修を、3.5時間×2日程にするなど)
などが挙げられます。実際複数回に分けて提供することで、インターバルで咀嚼可能となり、学習定着の効果もあります。
■実施するために特殊な設定が必要?
先述のzoomを用いてオンライン研修を実施する場合、以下があれば十分受講可能です。
- zoomのダウンロード(無料)
- カメラ・マイク(PC内蔵のものでOK)
- インターネット環境
環境面に不安がある場合、研修前に接続テストを事前に行えると良いでしょう。
まとめ:オンライン企業研修の懸念と対策とは
以上、オンライン研修を企画する際によく出る疑問・懸念と私なりの見解・対策について述べてきました。
まとめると、
- 「学習効果」上の懸念には対策可能であり、オンラインでも能動的に集中して受講することは可能
- 「環境面」の課題は工夫 (短時間×複数回にするなど) によって対応可能
- オンラインならではのメリット (全員がoutputできるetc) もある
- 加えてもちろん、「場所を選ばない」「集合・移動コストがかからない」ことは今の時代において利点となる
といった内容について書きました。
もちろん顔を合わせてお互いの表情を見ながら議論する集合研修の良さもありますが、なかなか現状そういった集合での実施の目途が立たない中で、オンライン研修の実施検討の材料になれば幸いです。